乳癌の患者様へ(原発・転移なし)

このページは、日本で一般的な医学的な見地でなく、あくまで当院の見解であることをご理解した上で読み進めて下さい。

日本では乳癌が発見されると初期の段階(0期、Ⅰ期、Ⅱ期(時にはⅢ期))外科的治療が第一選択肢として考えられることがほどんどだと思います。

私は形成外科医として乳房の手術(縮小術やつり上げ術)に関わってきましたし、乳房部分切除術や全摘術の術後の患者様を何人も見てきましたが、あまり美しいと思いません。
もちろん、乳腺外科的にはきれいな仕上がりなのですが、普段、美容医療にたずさわっているので、美容的見地からはあまり美しいと言えないと思っております。

乳房は女性にとって命のように感じられる方も多いと思います。
私は美容的見地から、放射線治療が初期の乳癌治療でもっと注目されるべきではないかと思っております。


実は放射線治療は、放射線科医の技量によって全く結果が異なってくることがほどんど知られていません。
腕の良い放射線専門医に治療を依頼できるなら、直径5㎝までの腫瘍であれば副作用もわずかで放射線治療で対応できると放射線の専門医からお聞きしました。

ある程度の大きさまでは放射線治療単独で、それ以上大きくなれば、ヒアルロン酸注入との併用療法(増感放射線療法(KORTUC))で放射線に対する感受性を高めて治療することで大きな腫瘍にも治療効果が出せます。

治療後の副作用や治療後の美容的形態から考えれば、私は個人的に乳癌に対しては外科的治療より放射線治療が優れていると考えています。
参考にしていただければ幸いです。

乳癌の患者様へ(再発・転移あり)

転移・再発乳癌の治療戦略(Advance Care Planning(ACP))

原発の乳癌で転移がない場合は、手術、手術+放射線療法、放射線療法を行えば治癒する可能性は高くなります。
しかし、乳癌が再発・転移した場合、完治を目指すことは難しくなるので、薬物療法や点滴療法、栄養療法で症状を抑えながら、より長く今の生活を継続することが治療の目的となります。

ACP (Advance Care Planning)では、病状を正確に正直に患者さんに伝え、将来を見据えながらどのような治療を選択していくか、またどのように生活していきたいか、患者様のご希望を聞き、家族、代理決定者、医療従事者も交えて十分に話し合います。
将来の症状の経過に備えて、患者様のさまざまな価値の中で、どんな人生を生き、どんなことを大切にしていて、何を希望しているかを明らかにし、家族や代理決定者、医療従事者と共有していきます。
ACPは緩和ケアなどで導入が進められていますが、これは、「終末期においては約70%の患者で意思決定が不可能(Silveira MJ, MEJM 2011)」なので、事前に話し合った方が良いという考察によるものです。

ACPは、従来の医者が言うから盲目的に従うのでなく、患者様自らが納得して治療法を選択し、自分らしく生活を送れるようになることを目的としています。

アンケートは15項目の設問と自由記載欄で構成されています。所要時間は約10分です。
質問は意識・関心の対象を問う3項目、治療や副作用、余命などについてどこまで知りたいかを問う3項目、延命効果が少しでもあれば治療を受けたいかなど、治療への積極性を問う3項目などがあります。

必ずしもACPの形式にこだわる必要はありませんが、このように今後の治療をどうしていきたいのか、しっかりと考える意義は十分あります。
ポセンシアクリニックでは、点滴だけでなくカウンセリングも行っていますので、ご希望の方にはカウンセリングをしながら、ACP的な話し合いもやっていくことができますので、ご活用ください。

ポセンシアクリニックでは、患者様からご希望があれば、次のようなことを話し合います。

目的
患者様と、価値、人生の目標、将来の医療に関する望みを理解し共有し合う。
それにより、重篤な疾患ならびに慢性疾患において、患者の価値や目標、選好を実際に受ける医療に反映させる。

具体的には、
希望・大切にしていること、してほしくないことを尋ねます。
・生活や療養の上で一番大切にしていることはどんなことですか?
・今後どのような治療を受けていきたいか具体的な希望はありますか?
・逆に今後これだけはしたくないということはありますか?
・それはどうしてですか?具体的に教えてください

・万が一の状態になった場合にどのように治療を進めてほしいか、何か具体的な希望はございますか?
‐どのようなことが一番ご心配ですか?
‐これだけはしてほしくないということがあったら具体的に教えてください。
・なぜそのようにお考えか詳しく教えていただけますか?

・症状が進むと、意識が薄れて、ご自分の意思を伝えることが難しくなることがあります。
・万が一の時に、
‐症状のために身の回りのことができなくなった時はどこでどのように治療・療養をするか考えたことはありますか?
‐そのような場合に何か具体的な希望はありますか?
‐そのような場合に一番心配なことはどんなことですか?
‐そのような場合に、これだけはしてほしくないということがあったら具体的に教えてください。
・なぜそのようにお考えか詳しく教えていただけますか?

・いのちに関わる治療の決断にあたっては、大きく分けて2種類の価値観を持つ方がいらっしゃいます
・まず一方の考えは、どんなにつらい状況で、苦痛や障害が残ろうとも生きていることに大きな価値があるという考え方です。
もう一方の考えは、ある特定の状況になったら、生きている価値がないと感じる考え方です。
・あなたは、どちらのタイプですか?
どうしてそう考えられるのですか?
・治療や病状によっては、命を延ばす意図で治療を行うと、痛みや副作用、障害を引き起こすことがあります
・もしそのような治療をしなければならなくなった時あなたにとって大切なことはどんなことですか?
例:
 ・どんな手段を使っても、どんな苦しみがあっても出来るだけ長く生きたい。
 ・期間を決めて治療してみて、それから考えたい。
 ・延命は考えず、快適に過ごすことに重点を置きたい。

具体的な治療法など、話しておくことが望ましい内容
・今後の治療の希望とその理由
・してほしくないこととその理由
・どこで療養したいかとその理由
・以下の生命維持治療に関する意向とその理由。
 ‐疾患特異的な治療
 ‐人工呼吸器
 ‐経管栄養
 ‐輸液
 ‐抗菌薬
 ‐心肺停止時の心肺蘇生