癌の進行期・末期に考えたいこと

癌の進行期・末期では、完治を目指すことが難しくなるので、薬物療法や点滴療法、栄養療法で症状を抑えながら、より長く今の生活を継続することが治療の目的となります。

乳癌の時に使われることがあるACP(Advance Care Planning)では、病状を正確に正直に患者さんに伝え、将来を見据えながらどのような治療を選択していくか、またどのように生活していきたいか、患者様のご希望を聞き、家族、代理決定者、医療従事者も交えて十分に話し合います。この考え方は、乳癌でなくても役に立つので、ご紹介いたします。

ACPでは、将来の症状の経過に備えて、患者様のさまざまな価値の中で、どんな人生を生き、どんなことを大切にしていて、何を希望しているかを明らかにし、家族や代理決定者、医療従事者と共有していきます。
ACPは緩和ケアなどで導入が進められていますが、これは、「終末期においては約70%の患者で意思決定が不可能(Silveira MJ, MEJM 2011)」なので、事前に話し合った方が良いという考察によるものです。

ACPは、従来の医者が言うから盲目的に従うのでなく、患者様自らが納得して治療法を選択し、自分らしく生活を送れるようになることを目的としています。

必ずしもACPの形式にこだわる必要はありませんが、このように今後の治療をどうしていきたいのか、しっかりと考える意義は十分あります。
ポセンシアクリニックでは、点滴だけでなくカウンセリングも行っていますので、ご希望の方にはカウンセリングをしながら、ACP的な話し合いもやっていくことができますので、ご活用ください。

ポセンシアクリニックでは、患者様からご希望があれば、次のようなことを話し合います。

目的
患者様と、価値、人生の目標、将来の医療に関する望みを理解し共有し合う。
それにより、重篤な疾患ならびに慢性疾患において、患者の価値や目標、選好を実際に受ける医療に反映させる。

具体的には、
希望・大切にしていること、してほしくないことを尋ねます。
・生活や療養の上で一番大切にしていることはどんなことですか?
・今後どのような治療を受けていきたいか具体的な希望はありますか?
・逆に今後これだけはしたくないということはありますか?
・それはどうしてですか?具体的に教えてください

・万が一の状態になった場合にどのように治療を進めてほしいか、何か具体的な希望はございますか?
‐どのようなことが一番ご心配ですか?
‐これだけはしてほしくないということがあったら具体的に教えてください。
・なぜそのようにお考えか詳しく教えていただけますか?

・症状が進むと、意識が薄れて、ご自分の意思を伝えることが難しくなることがあります。
・万が一の時に、
‐症状のために身の回りのことができなくなった時はどこでどのように治療・療養をするか考えたことはありますか?
‐そのような場合に何か具体的な希望はありますか?
‐そのような場合に一番心配なことはどんなことですか?
‐そのような場合に、これだけはしてほしくないということがあったら具体的に教えてください。
・なぜそのようにお考えか詳しく教えていただけますか?

・いのちに関わる治療の決断にあたっては、大きく分けて2種類の価値観を持つ方がいらっしゃいます
・まず一方の考えは、どんなにつらい状況で、苦痛や障害が残ろうとも生きていることに大きな価値があるという考え方です。
もう一方の考えは、ある特定の状況になったら、生きている価値がないと感じる考え方です。
・あなたは、どちらのタイプですか?
どうしてそう考えられるのですか?
・治療や病状によっては、命を延ばす意図で治療を行うと、痛みや副作用、障害を引き起こすことがあります
・もしそのような治療をしなければならなくなった時あなたにとって大切なことはどんなことですか?
例:
 ・どんな手段を使っても、どんな苦しみがあっても出来るだけ長く生きたい。
 ・期間を決めて治療してみて、それから考えたい。
 ・延命は考えず、快適に過ごすことに重点を置きたい。

具体的な治療法など、話しておくことが望ましい内容
・今後の治療の希望とその理由
・してほしくないこととその理由
・どこで療養したいかとその理由
・以下の生命維持治療に関する意向とその理由。
 ‐疾患特異的な治療
 ‐人工呼吸器
 ‐経管栄養
 ‐輸液
 ‐抗菌薬
 ‐心肺停止時の心肺蘇生